テレビ朝日・報道ステーションの誤報道について

 8月3日のテレビ朝日報道ステーションを御覧になったと思われる方から、ご批判のメールが十通程きました。「全ての政治団体について、一円から領収証を付す」との提案に、私が「困る」とした記者会見の映像が映され、「民意が分っていない」とのお叱りです。

 

 これはテレビ朝日の「意図的か、否かはともかく」、全くの誤報、映像引用のミスにより、私の真意と100パーセント逆の誤解を視聴者に与えたものです。8月3日の記者会見は、「全ての政治団体について一円からの領収証を添付するのは困る。それだけでは充分でない。政治団体も資金管理団体も認めず、政党のみで日常活動を行っている政治家の属する政党の扱いを公平にしないとバランスを欠く。政党間で協議し、公平なルールを確認してもらえば当然それに従う」と述べたものです。私が「困る」と言っているのは、「嫌だ」、「反対だ」といっているのではなく、「不充分・不公平で困る」と述べているのです。NHK等は正確に真意を報道しています。テレビ朝日は記者会見の全ビデオを持っているにもかかわらず、部内でチェックしていないのか、意図的なのか、「困る」の部分のみを放映し、キャスターもそれを前提に誠に失礼なコメントをしていました。

 

 当方の抗議に対し、テレビ朝日側は文書により、「説明不足のため視聴者に誤解をあたえた事があれば、私どもの本意ではありません」と回答していますが、これで私の名誉が回復されるものでもなく、引続き話合いを続けています。批判のメールには引用が恥しくなるような文面すらありました。しかしあの映像では、誤解のうえに感情的な文章を送られるのも当然かとも思います。例えば、8月6日のフジテレビ「とくダネ!」で、コメンテーターが同様の批判発言をしています。この点について、フジテレビ側は、取材担当局長名で「他局の報道を見たコメンテーターが趣旨を誤解し、ご迷惑をかけたことをお詫びします」と文書で速やかに非を認めています。

 

 テレビは瞬時の映像により、視聴者に訴えかけるだけに、映像の提供にあたっては、取材ビデオのチェック、側面取材による検証等で正確を期すとの放送倫理の原点を大切に、手ぬかりにより報道された人に不利益を与えぬよう配慮する義務があるはずです。偶々私が国会議員、大臣という立場にあったので、各テレビ局が迅速に対応したとは考えたくもありませんが、誤解を与える映像、誤解を前提にした「心ないコメント」で、多くの庶民の方々に同様の傷を負わすことのないように願うばかりです。

2007年8月10日

 

文部科学大臣

伊吹文明