主権者に約束したマニフェストの多くが実現せず、約束していない消費税を実行した民主党は、その時点で信を問うのが民主主義の常識でした。党内事情で、「近いうち」が延び延びになった為、民意が民主党を離れたのは当然でした。別表のとおり、総選挙結果は自公両党で衆議院の三分の二を超える圧勝。しかし、自民党は本当に勝ったのでしょうか。
投票率は前回を10%も下廻り、第三極の乱立があったとはいえ、自民党の得票率は、大惨敗の前回並みでした。残念ながら国民の政治離れが現実で、自民党の生まれかわりへの理解も充分ではなかったと言えましょう。むしろ民主党の一体感のなさ、与党としての素養と人材の不足からくる政権運営能力への不安が、民主党離れを起こした結果だったのでは。それだけに、安倍自・公内閣には、民主党を反面教師として、謙虚で、安定した政権運営が望まれます。伊吹新衆議院議長の捌きにも期待が集まるのはこの点でしょう。
民主党政権下で手が打てなかった、デフレ不況からの脱却、外交力の復元、原発を含めた現実的エネルギー政策の確立、安心できる社会保障改革等々、新政権の下で、本来の日本を取り戻さねばなりません。今夏の参議院選挙を勝ち抜き、安定的な政治運営ができるかどうか、日本政治の正念場はこれからです。
国の主人公たる国民から、国のことを決める主権を預る選挙は民主主義の原点です。その際の約束が護られなかったのが、政治不信の始まりでした。それ以上に国民が不満を持ったのは、政権担当能力への絶望でした。
政府与党は野党と異なり、自己主張するだけでなく、結論を出し、政策を実行しなければなりません。異なる意見、価値感を一つに纏めるには、他の意見を聞く度量、説得する知識と経験、人としての信頼が不可欠です。
この素養を欠いた民主党政権で失われた内政と外交の信頼感を回復せねばなりません。日本を取り戻すことが、自民党への期待なのです。
自公政権がなすべき第一は、デフレ不況からの脱却。売上げも給料も株も上がらない状況は、人心を萎えさせ、社会を暗くします。日銀の金融緩和と増発された通貨量を国内の投資と雇用に結びつける財政出動が応急のカンフル剤。カンフルが効いている間に、民間活力を引き出す成長戦略を進めねばなりません。
尖閣等の領土、主権の危機への対処は、日米の信頼関係の修復に懸っています。日本の主権が犯された場合には、日米安保条約を履行する日米の同盟関係の確認が、中国への最大の抑止力です。
政権に復帰したとはいえ、自公両党が参議院の過半数に及ばす、民主党が参議院第一党である現実を忘れてはなりません。何度も述べたように、国民の信頼が自民党に完全に戻ってはいません。民主党が悪すぎたので、選挙に勝っただけなのを忘れてはなりません。
新政権は総選挙の勝利にうかれることなく、現実を混乱させない、謙虚で安定した政治姿勢で臨んでもらいたいものです。民主党の失敗こそが、反面教師なのです。「国民の代表たる国会と内閣の間には、良い意味での緊張感が必要」と述べる伊吹衆議院議長の手腕、捌きに期待がかかります。
全国の選挙結果と同様に、京都の政界地図も大きく変わりました。正常に戻ったとも言えます。府内の衆議院の議席は、民主党が6が3へ。逆に自民党は2から5となりました。最後の決着は7月の参議院選挙です。自民、民主、維新に共産がからみ、二議席を巡る激戦が予想されます。
府民の意見は知事選で、市民の声は市長選で、民主主義のルールに則り、集約されます。従って、山田府政、門川市政の要望は即ち府・市民の声と理解し、自民党国会議員は、その実現に全力をあげてほしいと思います。