国会レポート

NO.160与党の制約・野党の気軽さ

雲水の足の赤さや京の雪。余寒なお厳しい毎日ですが、お元気ですか。

国民生活に直結する予算案審議が始まっています。「政治とカネ」等の与野党の批判合戦はウンザリです。しかし、内政や外交につき流石と思う応酬もありますが、与党の制約、野党の気軽さを実感しています。

理想を揚げねば政治に携わる値打ちがありませんが、現実を忘れては政治は出来ません。立派な意見、発想でも、実行に伴ない大混乱する場合は、国家と国民を預かる政府・与党は現実を譲らねばなりません。これが時に歯切れが悪く、うまくいかない人の批判や癪の種にもなります。このつらさこそが、実は政府与党の名誉ある宿命といえましょうか。

例を挙げましょう。一昨年の総選挙の民主党の公約は、高速道路の無料化。タダは嬉しいものですが、二十九兆円の建設借入金返済の方法を示さないと、現実的提言になりません。昨年の参議院選の民主党の公約は、年金給付と保険料の据えおき。長寿社会を迎え、年金財源は不足しています。給付引下げ、保険料引上げは嫌なものですが、その不足を埋める消費税法案を成立させられない野党提案は、人気集めの画餅にすぎません。

失敗を経済成長がやさしく包んでくれた時代と違い、現在は厳しく、つらい冬の時代。それだけに、名誉ある宿命を背負う与党は、謙虚さと説明の丁寧さを失なってはならないと自戒しています。ご自愛を。

2005年2月17日 於議員会館

伊吹文明

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