国会レポート

NO.192  福田総理の突然の辞意(財務大臣の責任)

故郷は有難きかな秋茄子。暑すぎる夏、集中豪雨。エネルギー使いすぎの生活様式への自然の警告でしょう。お元気ですか。

内閣改造後わずか一ヶ月、福田総理の突然の辞意表明。公表の二時間前にご本人から、心情吐露の電話がありました。私は、内閣は国の安全保障、国民の安心に責任があり、行政の空白は避けるべき―と話しましたが、衆参ねじれ国会では、総理でいることが国会審議を渋滞させるとのお気持ちを変えられませんでした。安倍・福田と二代に亙る総理の突然の辞任に対し国民に深くお詫びします

私は財務大臣をお引受けし、長寿少子化が進み、石油や食糧を輸入に頼る弱さの出た日本経済と財政の舵取りを誤りなく行いたいと考えていました。私自身は二十五年振りの財務省への復帰、浦島太郎ですが、一般論として財務大臣の在るべき姿について述べておきたいと思います。それは二つの玉手箱を開けないことです。一つは政界の玉手箱。政治の「権力」の源泉である多数を得るため、政界で時として行われる、バラマキ公約が入っているからです。

二つ目は大蔵省の玉手箱。財務省が大切にする財政規律は矜持をもって護るべき大事な価値観です。と同時に、経済あっての財政、人の営みのために財政を預かっているとの謙虚さを失ってはなりません。二つの玉手箱を開けず、二つの玉手箱のバランスをとり、二歩進んで一歩退く我慢こそが後世への義務でしょう。ご自愛を。

2008年9月5日 於議員会館

伊吹文明

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